神奈川県知事黒岩氏への提言 私からのラブレター
神奈川県への提言三部作のまとめ
9月のブログは神奈川県職員に向けた「県の職員はビジネス感覚を持ってもらいたいという話」を書かせていただきました。
10月は「県議会議員は自らの存在意義を深く考えて頂きたい」として、神奈川県議会議員に向け書かせていただきました。そして今月はいよいよ神奈川県知事の黒岩祐治さんに向けたブログを書かせていただきます。
神奈川県に向けた私のメッセージでもあり、このブログのタイトルでもある「私が言いたいことがある」神奈川県編三部作のいよいよ完結であります。
県三部作を書こうと思ったきっかけは、私が黒岩知事に宛てた手紙がきっかけであります。
詳細は「住民監査請求、神奈川県が住民の請求を認めた事例は1件もない事実 その2」をご参照ください。
知事に宛てた手紙にも関わらず、返事は監査事務局の総務課長からでした。
それはいいんです。知事も忙しいでしょうし、返事を書く時間もないかと思います。
しかしその手紙には「知事に具申した結果〜」や「知事に代わって私が〜」的なことは一切書かれておらず、総務課長による勝手な判断か、秘書が抑えてしまったのではないかと思われるものでした。
私はこの手紙を受け取った時、県庁は風通しが悪い、横だけでなく縦のラインもできていない組織なのではないかと直感しました。
一事が万事で組織のどこかで情報を抑えてしまっているか、知事が聞く耳をお持ちでないのかはわかりませんが、いずれにせよトップなのですから指導力のなさ、マネジメント力のなさは否めません。
知事、県庁のホームページで展開している「教えて!黒岩さん」「写真で見る黒岩日記」のような目や耳に優しい活動を発信するのもいいですが、神奈川県下33市町村の現状をご存知ですか?
このままでは借金ばかりが増え、都市部以外の地域は疲弊してしまいます。その皺寄せはすべて住民らの双肩にのしかかります。
知事には神奈川県の市町村や郡部の現状を理解していただき、県の改革を推し進めていく為に、三部作のまとめとして本稿を書きました。
神奈川県の借金は県民一人あたり45万円
神奈川県の借金は約3兆7千億円、県民一人あたり45万円となります。これとは別に各市の借金もあります。
政令指定都市の横浜市は約2兆3千億円(市民一人あたり63万円)、川崎市は約8千5百億円(同59万円)、相模原市は約2千6百億円(同36万円)です。神奈川県内に借金のない市町村は存在しません。
これら債務はどう返済されるおつもりでしょうか。知事は借金が減らないのは臨時財政対策債が問題だと仰っていますが、県の税収は平成28年をピークに下がり続けているではありませんか。
法人事業税、法人県民税、個人県民税いずれもです。歳入を増やし、歳出を減らす改革を実施すると共に、県職員や県議も予算バランスを培い、昭和につくられた古い条例や慣習を撤廃し、より柔軟に誘致等に取り組んでいくことが大事だと考えます。そうしないと私達の豊かな生活は夢のまた夢に終わらざるを得ません。
同じ関東圏でも千葉、茨城、埼玉県の市町村は工場などの民間企業への誘致に積極的で柔軟性もあります。先日私達まちづくりの会も茨城県のある土地開発の物流拠点の件で関係部署の窓口へ相談に伺ったところ、その日は断られましたが、翌日に同部署の担当者から電話があり、ぜひ話を聞きたいとのお返事がありました。
つまり税収増については、極めて敏感であり危機感を持っているだけに柔軟な対応を考えていると言うことです。
一方神奈川県はどうか、私の所感では「危機感が薄すぎる」です。
県の職員の人件費年間約7,500億円、県議の報酬合計は年間31億円。これだけのコストを使って県職員は予算の消化、県議はカネ集めが仕事だと思っています。
知事だけでなく、県職員、県議一丸となって税収を増やす仕組みを考えていくことが大事です。
例えば施設の建設。建設費は税金を使うものと思っていませんか?お金を持っている民間企業に建てさせればいいのです。そして賃料を支払い、そこに入居すればいいのです。
民間では当たり前のことが自治体は出来ない。発想の転換をしなければ、借金は増える一方です。
市町村の発展は急務。商業においても農業においても
市町村の発展は県条例が阻害している場合もあります。地域の発展の為には商業を豊かにしなければなりませんが、市町村が地域の開発をやろうと思っても、そこには古い条例が存在します。
国会議員は年間200程度の法案を通していますが、県議はそれと比較すると非常にレベルが低く、地域発展の条例も法案も通していないという難しい現状があります。
工場や物流センターを誘致するのもいいですが、まずは商業施設を優先すべきです。
1000坪のスーパーを作ると、パートさん約600人の雇用が生まれる。1日5時間働けば住宅ローンの返済分を稼げる。その分家計に余裕ができるから家庭は豊かになる。
コロナ給付金で10万円を1回配っても豊かにはなりません。借金が増えるだけです。
調整区域のままでは固定資産税は坪数百円程度しかなりませんが、用途地域を変更することにより商業・工業用として土地を活用できれば固定資産税は50倍になります。そこに建物を建てれば更に税収も増えます。民間をどんどん活用すればいいのです。その為にも市町村へ権威を移譲すべきと考えます。
商業だけでなく農業においても同じことが言えます。
田園1反でコメの収穫は6〜7俵程度です。しかし1反の土地でハウス栽培を行えば700〜800万/年の収益を生み出します。県が指導しない限り、県内の農業は衰退していきます。
神奈川県の改革に期待します
私はいつも「県会議員だより」や議会の録画に目を通していますが、通した法案の少なさがよくわかるだけでなく、過去の無意味な条例の見直しの質問など1つもなく、それどころか自ら質問をして満足しているだけのように伺えます。
私の古くからの知人で大阪の大手金融機関の役員をしている方がいます。これまでのブログを読んでいただいたところ、大阪府・市の改革の現状を話して下さいました。
大阪府には神奈川県に構想だけあってまだ存在しない「公民連携室」があり、活発に運用がされており、非常に風通しのよい府庁になっているとのことです。
大阪は官民一体となった改革がかなり進んでいるようで、神奈川県の現状と比較してみて愕然としました。
知事が変わらなければ、神奈川県は良くならないということを、知事自身が自覚しなければなりません。その為には、どんな事でも知事に報告をし組織の風通しを良くすることが必要です。
知事は度量の大きい持ち主だと思いますので、今後様々な意見を受け止め、県民の為になるような改革をしてくれることでしょう。
古い条例の再検討、問題意識の甘い県議を目覚めさせること、県職員のP&L意識を高めさせること、そしてもっとも大切な33市町村の現状と課題を再認識して改革に挑むことです。
私は神奈川県と県民を愛してやみません。黒岩知事はきっと私達の期待に応えてくれると信じております。
今年のブログは今月で終了となります。
次回は2022年1月で9回目のテーマは「県会議員と県職員のあり方」についてです。
お楽しみに。