「変革せよ!神奈川県」シリーズ第1弾。神奈川県の農業改革は今やらずにいつやるのか?危機感のない県議・県職員
目次
「変革せよ!神奈川県」シリーズとは?県議・県職員に目覚めてほしい!
毎日暑い日が続いております。皆様お変わりありませんでしょうか。
熱中症に気をつけ、水分を充分補給し、無理のない生活をお過ごしくださいませ。
本コラムは今月から「変革せよ!神奈川県」と題し、県政や市政のあり方について、批判も交えながら提言していこうと思います。このコラムは県議や県職員にぬるま湯体質から脱し目覚めてほしいという目的があります。
何回かに渡りシリーズ化してお届けしますが、第1回目は農業改革についての提言です。以前も本コラム「神奈川県の農業改革。今、県が中心となって推進させなければ手遅れになる」で触れておりますが、農業が衰退する県は自治も税収も衰退すると私は考えておりますので、もっとも重要なテーマと捉えております。
「変革せよ!神奈川県」を書こうと思ったきっかけは、こんなことがあったからです。まずは次章をお読みください。
たらい回しの末振り出しに戻る。何も進まなかった経験
神奈川県のある市で調整区域における土地開発の話をしておりました。特定の土地に対して物流拠点を築く開発の申請に関してであります。
市の担当者曰く「物効法(物流総合効率化法:説明は注釈参照)であれば許可を下ろします。」とのこと。
開発は当会会員(大手商社・不動産会社等)で行う予定でしたので、問題はないと判断し計画を進め、再度市の担当者と打ち合わせを行いました。
すると「物効法では県が許可を下ろさない」との回答。更に「私は許可を下ろすなど言っていません」と前回の回答を覆す発言。
言った、言わないの水掛け論を避けるため、私は「了解しました。県に問い合わせてみます。」と話を打ち切り、後日県の担当窓口に出向きました。
神奈川県の土地開発における担当者3人に事情を説明したところ、「許可は下ろしません」とのこと。「いえ、まだ申請すらしていませんよ?」しかし担当者は「ダメなものはダメ」と埒があきません。
「わかりました。それでは市と県の担当者と、当会と三者で話し合いをしませんか?」と妥協案を出しましたが、後日それすら断られてしまいました。
そこで私は、当該市の市会議員にも入っていただき、住民監査請求と知事への質問書の2つの方法で打開策を検討しました。
しばらくすると市議から連絡をいただきました。「市役所の担当係長が、嘘をついていることを認め、市は許可を下ろしますとのことです。」私は誠意が通じたのだと喜び、市役所を訪ねようと連絡をしました。
するとどうでしょう。担当者曰く「やっぱり県が認めないので、市の立場としては許可を下ろせない。」とのこと。また振り出しに戻ってしまいました・・・。
果たして自治とは何なのでしょうか?市が良と言ったものを、県は否と。しかも市に圧力をかけて否に変えさせる。その理由を求めても、まともな回答はせず申請すら受理しません。
県政は私たち県民の訴えに聞く耳を持たず、一方的に「NO」を突きつけます。これはあまりにも傲慢ではないでしょうか。
調整区域は田畑の場合が多いので、本来は県の職員が「NO」と言う前に市の農業委員会に申請書を提出して、農業委員が委員会で審議をします。
その審議もせず、市や県の職員が結論を先に出してしまいます。そして県民と多少揉めると職員は責任を放棄し逃げてしまい、農業委員会はずっと蚊帳の外です。
2021年に掲載させていただいたコラム「住民監査請求、神奈川県が住民の請求を認めた事例は1件もない事実」でも触れましたが、県政は課題と正面から向き合わず回避するのがお得意のようです。
私が経験したのは住民監査請求と、今回の物効法に伴う農業委員会の件だけですが、県には様々な外郭団体が存在しますので、どこも同じように責任を追わず事なかれ主義の作業をしているのでしょう。
私からすると「ふざけるな!」と言いたいわけです。県民のために悪しき習慣は改善していこう、県政や市政を改革しよう、議員・職員はこのような考えが一切ありません。私は税金を使わないまちづくりの会の事務局長として、約10年間様々な交渉をしてきました。
市はまだ少しは危機感を持っています。しかし県は県議も職員も「変わらなくてはいけないんだ」という危機感を全く持っていません。この悪習慣を改善しなければ、県政は、いや私たちの暮らしは一向に良くなっていきません。
これが「変革せよ!神奈川県」を連載しようと思ったきっかけであります。このコラムを読んだ読者の方々にも、ぜひ声をあげていただきたく執筆させていただきます。
とても重要な営農指導。しかし神奈川県は・・・
「あのハウスは何を栽培しているのですか?」私はある開発プロジェクト(詳細は「九州のプロジェクトに参画してわかった地方自治体と神奈川県の決定的な違い。だから神奈川県はダメなんだ!」参照)で熊本県のある市を訪れた際、市の職員に聞いてみました。「あれはスイカを作っています。」スイカと言えば千葉や山形を思い浮かべますが、熊本県は出荷量で全国1位です。しかもブランド化されているスイカも多いので、単価が高いものもあります。
イチゴはご存知の通り栃木県が出荷量1位ですが、2位は福岡県です。桃は1位山梨県、2位福島県、さくらんぼは1位山形県、2位北海道です。皆さん1位は想像がついたかもしれませんが、2位は意外ではなかったでしょうか?梨は山梨県が1位だと思いますか?いいえ1位千葉県、2位は茨城県なのです。
しかも最近の果物は、値段も張りますがとても甘くておいしい。これらはみな営農指導と農家の努力の賜物であります。長い時間をかけ、何度も何度も品種改良を重ねた結果であります。
神奈川県には出荷量や人気で誇れる果物や野菜がありますか?いいえ1つもありません。県が営農指導をしていないからです。しかも怠っているだけでなく、法律だ条例だと県民の手足を奪い続けているのです。土地が狭いからとお考えですか?ハウス栽培はそれほど広い土地を必要としません。しかも神奈川県は専業農家を蔑ろにしています。
道路1本通せばその両脇は危険なので、農家は農業を続けたくてもできません。それならば非農家の土地(調整区域など)を安価で購入できる条例を作ればいいのです。若い人材を育てるプロジェクトを動かせばいいのです。
地方は税収を何とか上げようと危機感を持って取り組んでいます。神奈川県はそれに比べ税収が豊かだから、農業に力を入れなくてもよいとお考えですか?それは全くの間違えです。工場は安い土地を求め、どんどん撤退していますし、商店街はシャッター通りと化しています。2020年の税収は1兆5千億円ととても多いですが、個人の県民税は減り続けています。消費税が10%になったから助かっているようなもので、今後は人口減少やコロナの後遺症で法人税も減少します。
10年後など税収は壊滅的になるでしょう。しかし県職員のリストラをしていませんから、現在の歳出比率は20%程度ですが、いずれ人件費率は30%を超えるでしょう。
目覚めよ県議・県職員。神奈川県の農業の未来のために
サラリーマンの平均年収500万円の時代、農家は850万や1,000万稼いでいる専業農家はたくさんいます。しかし神奈川県にはそれだけ稼ぐ専業農家はいません。従って税金を支払っている専業農家もございません。しかも農業人口も減り続け、且つ高齢化しています。工業や商業は民間企業の知恵や経験が勝っているので県職員の指導は不要です。
しかし農業は企業のような大きな組織体ではないため、知見やノウハウが蓄積しにくいのです。
よって県の営農指導がとても重要な役割を果たします。しかし県は農業の魅力や収入を伸ばせる仕組み、教育・育成をなぜ考えないのか?
その答えは明確です。それは知事が農家を重要視していないからです。また県民に目を向け仕事をしてないため、行政の改革など県民は全く興味がないのです。このままだと神奈川県の農業は衰退の一途を辿りかねません。そうならないよう、県議・県職員は目覚めていただきたいと願っております。
「変革せよ!神奈川県」シリーズ第1弾、農業改革はいかがでしたでしょうか。ご意見やご感想などお寄せいただけると幸いです。次回第2弾はふるさと納税について書いていこうと思います。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
物流総合効率化法:流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)は、流通業務(輸送、保管、荷さばき及び流通加工)を一体的に実施するとともに、「輸送網の集約」、「モーダルシフト」、「輸配送の共同化」等の輸送の合理化により、流通業務の効率化を図る事業に対する計画の認定や支援措置等を定めた法律です。
引用:国土交通省