九州のプロジェクトに参画してわかった地方自治体と神奈川県の決定的な違い。だから神奈川県はダメなんだ!
目次
税金を使わないまちづくりの会の近況報告
皆様、新年あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願い申し上げます。
2023年の最初のコラムは現在、税金を使わないまちづくりの会が進めている様々なプロジェクトをご紹介します。当会は名前の通り、税金を使わない、つまり民間企業の力で街づくりや地域の活性化を行い、住民の方々の豊かな暮らしを実現させていく会でございます。
この主旨に賛同いただいた企業が会員となり、現在165社が参画しております。
建設、設計、不動産、鉄道、金融、流通、医療企業等業種も幅広く、お陰様で会員の多くは大手企業で成り立っております。当会は税金を使って地域の開発を進めようとする自治体と、ときには対立し、ときには協力し合いながら事業を進めております。
直近のプロジェクトでは横浜市瀬谷区の旧上瀬谷通信施設跡地における開発、これは単に商業施設や住居等をつくるのではなく、全国の文化や伝統等を広く知っていただくための施設などの計画を考えております。
また千葉の市原市でも約20万坪の街づくりを進めております。
熊本県で進んでいる巨大半導体工場の建設
更に大きなプロジェクトにも参画しています。ニュースでお聞きの方もいると思いますが、台湾の半導体メーカーTSMC(台湾積体電路製造)が現在九州の熊本に1兆円を投資し、巨大な半導体工場を建設中です。またこれを機に台湾、中国、韓国等のIT企業が50社くらい九州に工場の建設、または支社設立を予定しています。
そのためTSMCは約300人の技術者、及び関連企業、また工場等で働く地域の方々の住居や商業施設が必要となります。またこれに伴い当会では熊本で4万4000坪、北九州で約8万坪の土地の開発を、当会員である地元の不動産会社、建設会社と一緒に進めております。
九州は1980年代シリコンアイランドと呼ばれておりました。当時、日本製半導体の世界シェアは49%ありましたが、現在は残念ながら凋落してしまい、わずか6%となっています。しかし現在、台湾最大手のTSMCだけでなく国内大手の東京エレクトロンも2024年に工場を完成させようとしています。このように九州はシリコンアイランドの再来と、各県や地域が大いに期待に湧いております。再びIT分野において強い日本へと復活していただきたいと願っております。
街づくりの会が架け橋の役割を担っています
熊本、福岡、北九州と九州地域は海外企業の誘致に非常に力を入れており、また多くの企業の誘致に成功しています。街づくりにも力を入れています。しかし私の視点からすると、街づくりの思想はまだまだ不十分であると言わざるを得ません。
今回のような4万坪、5万坪といった広大な土地開発・街づくりはあるとは思いますが、まだ経験が浅いため入口(開発)はできますが、出口(活性化)はなかなか見いだせないのが現実ではないでしょうか。
九州にも地場の大きな企業はたくさんあります。しかし全国規模で展開している大手企業はありません。よって広大な土地開発や街づくりのノウハウは蓄積されていません。
こういった課題を解決しているのが当会です。地場の不動産会社は土地勘や土地の情報はあっても、それを生かすノウハウには弱い面があります。地場の建設会社は巨大な商業施設を建設した経験があまりありません。
一方当会の会員は大手企業ではありますが、九州の一定地域へのビジネスを橋架けるコネクションが充分ではありません。
当会ではその両者をつなぎ、WINの関係を保ちながらも、地場企業の情報や知恵、当会員の資金力やノウハウを融合し、新しい工場等で働かれる方々にとってのより良い街づくりを推進しております。
よって私は隔週で九州を訪れ、今日は町役場と現場視察、明日は県庁を訪問とまるで便利屋のような仕事をしております(笑)。しかしこれも日本の成長と地域で働く方々の豊かな生活の実現のため。まだまだ頑張ります!
九州と神奈川県の違いは役人や議員が住人の立場を理解しているか否か
前述のように、私は九州の町役場や県庁を訪問しているのですが、神奈川県や横浜市と、その対応の大きな違いに驚きました。神奈川県の場合は市町村の役所に出向き土地開発や地域活性化の話をしようとすると、担当者が出てきて「あ、それは県の条例でできません」「県がダメだって言っているのでできません」といっさい聞く耳を持たない対応です。
九州は市よりも町が多いので、町役場へ行くとだいたいは担当課長が対応してくれます。そこで同じような話をすると「その件は検討する価値がありそうですね。私から県庁に話をつなげますよ」「この後県庁に行かれますか?それでしたら、このように話をしてください」と神奈川県の役所では考えられない対応の仕方です。
県庁も同様に神奈川県の場合は条例を盾にだいたいは話を聞こうとしませんし、聞いたとしても断ってきます。しかし九州のある県庁へ話を持っていきますと「なるほど。町がそう言っているのであれば、県も協力しないといけませんね」という前向きな言葉が返ってきます。
町会議員にも会ってきました。「ちょっと私だけだと判断できないので、今から一緒に町長のところへ行きましょう」と高い問題意識を持っていました。更に熊本では地元の方の紹介で県議会議員にも会って来ました。神奈川県の県議の場合は、真剣に人の話を聞いていない態度か、圧力をかけてくる議員が多い中で熊本の議員は違いました。私の話をじっくり聞き、ずっと黙っています。話が終わると「私は何をすればよろしいでしょうか。」と非常に協力的な反応でした。
この違いは一体何なのでしょうか。県民性の違いでしょうか。いいえ違います。これが役人の本来の姿であって、本当の政治家です。地域を活性化させたい、県民・町民の豊かな生活に貢献したい、それによってもちろん税収も増やしたい、そのためにはどうすればよいのかと言う問題意識と危機感を持って真剣に向き合っているか否かだと思います。
一方神奈川県はどうでしょうか。県民・市民のために本当に働いているのか?と疑問を持たざるを得ません。令和3年度の税収は黒字とは言え、県の地方債は3,900億円(2022年現在)あります。
地方の県と比較して東京や神奈川の税収は潤沢です。故に驕っているのではないでしょうか。
このプロジェクトを進めていく過程で神奈川県は九州を見習っていただきたいものだと実感しました。
世界に広がりつつある?税金を使わないまちづくりの会
このように税金を使わないまちづくりの会では、その事業領域を広げつつ地域に貢献してまいります。
九州でのプロジェクトでは台湾や中国の企業も、当会の主旨に賛同し加入を希望してきております。
私たちの活動に国境はありません。「税金を使わない」活動を国内だけではなく、世界にも広げていきたいと考えております。
次回、14回目のテーマは 「県会議員と市会議員のあり方」 についてです。
※最後に当会では、金融・ファンド関係等専門分野にたけた即戦力になる人材を募集しております。