神奈川県の改革第2弾。一般職はいらない。必要なのはエキスパート職
目次
県の一般職員は約11,000人もいるがエキスパートはいない
前回のコラム「神奈川県の農業改革。今、県が中心となって推進させなければ手遅れになる」が大変好評で、賛同のコメントや応援のコメントを多くいただきました。誠にありがとうございます。
今回も前回に引き続き、神奈川県への改革を提言してみたいと思います。
神奈川県の職員数は約36,000人います。そのうち教員が約9,600人、警察官が約15,000人なので一般職員は約11,000人となります。これらの職員は約4,000人が本庁勤務、約7,000人が出先機関へ勤務しており、県民の健康や暮らし、文化、福祉、産業などの業務に従事しています。
部局は細かく分類されており、詳細はこちらで見ることができます。
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/8112/r40401kikouzu.pdf
前回取り上げた農業に関しては「環境農政局」の「農水産部」が担当している訳ですね。
職員の皆さんは日々忙しい仕事に従事されていることと思いますが、果たして11,000人の職員の中にエキスパートは何人いるのでしょうか。一般職や総合職は多いですが、エキスパートは非常に少ないのが現状です。今回はエキスパートが少ないことの課題や改革策などについて、詳しく触れてみたいと思います。
県職員を半分に減らして、うち1/3をエキスパートにしてもいい
県の職員は階級が細かく分けられており、技師から始まり主事、主任主事、主査、副主幹、グループリーダー、課長、部長、理事・局長と9つの階級があります。そして業者等との癒着を防ぐために、3~5年の一定期間同じ部署で務めたら、他部署へと異動させられます。
これではなかなか専門職は育ちません。専門知識が身につかず「指導」という名ばかりの内容のない助言で市や町を管理するばかりです。
階級もこんなにたくさん必要ありません。無駄な手当を生むだけです。民間企業は一般的には5か6位の階級です。また異動も短期サイクルではなく、例えば農業福祉や都市開発、地域産業開発等、専門職であれば異動をせずに同部署で仕事に従事した方が、専門家つまりエキスパートな人材が育成でき地域に役立つ指導ができます。
一般職は専門的な知識がないので全く役に立ちません。民間企業では特に管理部門などは、どんどん機械に置き換えられリストラされています。県職員も同様にルーティンの管理業務などは全く価値を生まないだけではなく、コストばかりかかるので、一般職を減らしてエキスパート職を積極的に増やすべきだと言えます。
横浜市や川崎市が特別自治市になったら、職員は半分にしてそのうち1/3は専門職にするべきだと考えます
各分野のエキスパートが現場を積極的に指導・教育することで
少し前の話になりますが、2016年に相模原の障害者施設で多くの方々が殺害されるという悲しい事件が起きました。また福祉施設や高齢者施設では入居者が亡くなるという事件や事故が度々起きています。これらは未然に防げないのでしょうか。
いいえ防げます。事件・事故を0にすることは難しいとしても、発生率は県の指導によって更に低くできるはずです。県の福祉部の人材をエキスパート化すればいいのです。エキスパートは事件や事故の発生のメカニズムをある程度把握しているため、その防止策も熟知しています。施設に向けて県のエキスパート職員がしっかりと管理・指導することにより、事件・事故の発生率を低くすることができます。
直接介護現場へ教育指導に入ることで、職員のサービス範囲も広がります。介護技術が向上することで、職員数も抑えることができ、給料を上げることも可能になってくると考えます。
これは福祉だけの問題ではなく、農業、漁業、商業、都市計画、民間企業の労働環境、中小企業の活性化、地域住民の豊かな生活等エキスパート職員の介入・指導により改善ができます。県職員の本来の業務は「あれはダメ、これはダメ」と管理をすることではなく、地域の活性化、県民の安全で豊かな生活の実現なのです。しかしこれらは今の運営の仕組みと一般職にはまずできません。専門知識と経験を有したエキスパートにしかできないことなのです。だから私は一般職員を減らし、専門知識を有したエキスパートになるよう育成せよと提言しているのです。
エキスパートが増えれば県職員の天下り先も、市町村の副市長や副町長等ではなく農業や工業、福祉の団体や企業となり、これまで培ってきた経験や知識を活かすことができます。それが地域の活性化にもつながります。
県民は血税を払っているお客さまとも言えるので、県職員はそれだけの価値を提供する必要があると言えます。
県職員だけでなく県議への改革促進提言
この職員エキスパート化の提言は県職員だけに申し上げているのではありません。県職員は条例を変えることなく、またトップダウンや指示がない状況で自主的に改革などできるはずもありません。昭和の時代にはサムライ官僚的な職員はいましたが、令和の時代にそれを県職員に求めるのは酷であります。
私の提言は知事や県議にも申し上げています。県議は地域から1~2名選出されますが、まず私はすべての県議に問いたいです。任期中に地域が活性化する活動をどの程度したのか、何件の法案や条例を通したのか、地域住民がどの程度豊かになったかを数値で示せるのか?と。
多くの県議は県民の利益のために活動していないので0点でしょう。県議はもう党利のために働くのではなく本来の仕事、つまり県民の利益のために働いていただきたい。そのために、県民の生活を豊かにする改革案を、このコラムでも述べている県職員の働き方改革などを議会に提案していただきたいと思っています。
県民の皆さんは身近な市議選挙や衆参の国会議員選挙に興味はありますが、県議は身近な存在ではないため興味がありません。しかしもっと厳しい目を注いでいただきたい。そうしないと多くの県議は勉強も仕事も全くしないからです。
また当選回数が少ない若い県議にも申し上げたい。当選回数が多かろうが少なかろうが、私たち県民から見れば同じ議員なので議会で遠慮する必要はありません。党利に走らず、保守的な考えにならず常に問題意識を持ち、声を上げ続けてください。そしてあなたの地元のために、その能力を存分に発揮していただきたい。
追記
県議の人口割の市町村割はいかがなものか?
現在の県会議員は105名います。そのうち政令指定都市の横浜市の県会議員は40人川崎市は18人相模原市は8人の計66名です。
以前にも述べたとおり1/3は減らすことができるはずです。
県議及び県職員の方は自分の町が他の地域より財政が豊かで潤っていると、胸を張って言えるでしょうか?
これを考えるのが県議であり県の職員だと思っております。
私は政令指定都市の県会議員の仕事及び役目は終わったと考えています。
県職員の皆様、県民はあなた方に単なる事務員を求めているのではなく県全体の改革について考え、真摯に取り組んでくれる人材を望んでいるのです。
この機会にもう一度自分の足元を見つめ直し考えて頂ければ、30市町村の税収・雇用も増え豊な町づくりが出来ると確信しております。