湘南の海岸の景観を壊す防砂柵。何とかなりませんか?神奈川県庁さん

湘南の海岸の景観を壊す防砂柵。何とかなりませんか?神奈川県庁さん

私は茅ヶ崎市に住んで21年になります。温暖な気候で街の雰囲気も良く安全でとても気に入っています。何よりも海が近いので自然に触れるいい機会です。海岸に立つと烏帽子岩の向こうには相模湾が広がり、伊豆大島や初島、三浦半島が見え、またとても晴れた日には房総半島までが眺められます。
夕方には夕日に染まる富士山も見ることができ、とても素晴らしい風景を堪能できます。
この景色に憧れ、湘南に越してきた人も多いのではないでしょうか。事実、茅ヶ崎市の2020年の人口は242,603人ですが、22年は243,957人と増加しています。藤沢市は人口増加率神奈川県第1位で2020年の436,466人に対して、2022年は443,272人です。
湘南への憧れは、環境の良さだけでなく、やはり海や海岸の景色に期待して移住してくる方々も多いのでしょう。しかしその期待を裏切るのが砂浜に立つ防砂柵です。この距離約5km以上続く竹の柵があるために海がまったく見えないのです。今月はこの防砂対策について書いてみたいと思います。

私は健康維持も兼ねて、週末には茅ヶ崎の海岸でランニングやウォーキングを楽しんでいます。波の音を聞き、引いては寄せる波を眺めながらサイクリングロードを歩くのはとても快適です。

しかしここ6、7年は海がまったく見えません。写真のように砂浜側にも高い防砂柵が立ってしまったからです。この柵が藤沢市まで延々と続き、時々チラッと海が見える程度です。国道134号線側には防砂林、砂浜側には背の高い防砂柵、その間にあるサイクリングロード。ジョギングやサイクリングをしている人はいますが、最近はゆったりと散歩をしている高齢者の方がめっきり減ったように思えます。以前はご夫婦で散歩をしている方々を幾人も目にしましたが、ここ数年は目にしません。海の見えない海岸を歩いても仕方がないと思われているのではないでしょうか。引っ越されて来た方々も「なんだ海なんて見えないじゃないか」とガッカリした人も多いのではないでしょうか。
確かに防砂対策は必要です。沿岸に住む方々にとっては、窓を開ければ砂が飛んでくる環境では住みづらいでしょうし、自家用車が砂まみれになっては洗車も大変でしょう。そのために県は昭和40年代からクロマツ、タブノキなど15種類もの木々を植林し防砂林を育成してきました。防砂林は海岸と134号線の間、134号線と住宅の間にも植えてあります。
しかしこれだけでは充分ではなく、サイクリングロードに砂がたまるため防砂柵を立てているのでしょう。
それは私も理解しています。私が言いたいのは、せっかく引っ越してきた住民の憧れを奪うようなロマンのない対策をするなと、台風が来れば2、3年で倒れてしまう柵を立てるなと、老朽化してその都度修繕をすることになるコストパフォーマンスが低い防砂をするなと言いたいのです。まったくセンスがないとしか言いようがありません。

海岸を歩いていると、一定の距離を置いて木のトンボが置いてあります。飛んできた砂を整備しているのですね。また壊れた防砂柵がたくさんありますが、紐で縛って補強する方たちがいます。しかしこの活動は県の職員ではなく、市民やボランティアの方々がやっています。昔はお年寄りがやっていましたが、最近は意識の高い若い方々も積極的です。県議及び藤沢土木事務所の職員はこのような地道な活動など知らないでしょう。県議が藤沢市に5人茅ヶ崎市に3人もいるのに、景観を壊す防砂対策を全く改善しないのですから、知らないか興味がないかのいずれかでしょう。
私の知り合いの県議は毎年、約百数十人の人を集めて地引網のイベントをしていますが、そのような人気集めの活動には興味があり、その網を引いている砂浜の現状などには興味がないのでしょう。議会でも反対者がいないことをいいことに、何も考えずに前年とまったく同じように予算を通してしまうのでしょう。
住人無視のロマンもセンスもないのが、今の県議であり議会なのだと思います。地引網は票につながるかもしれませんが、防砂対策を改善しても票にはつながりませんので積極的に動く県議は皆無です。
茅ヶ崎市と藤沢市の職員も県や県議のイエスマンなのでしょうね。住民のためではなく、議員の方を向いて仕事をしているのだと思います。

以前は、砂浜には写真のようにハマナスやハマエンドウ、ハマヒルガオといった砂草が植えられおり、これらのお世話をしている方々も見かけましたが、今では砂草も見当たらなくなり、お世話をする方も見かけなくなくなりました。 私は自然の力を利用した砂草や潮や砂に強い植物、オカヒジキ、コウボシバ等を植えて、その範囲を徐々に広げていくこと、育成は大変かもしれませんが、景観を保ちながら且つ無駄なコストをかけないためにも、自然の力を借りたサスティナブルな防砂対策が湘南の海には適していると思うのです。

このコラムでも何回か述べているように、県議及び県職員は前例に従うやり方はもう辞めませんか。
ロマンもセンスもないだけではなく、県民のことを考えない条例や計画はやめていただきたい。
県職員は県議を見るのではなく県民の生活を見ていただきたい。もうそういう時代ではないのです。
湘南の砂浜の正しい防砂対策を検討しているのかどうかは解りませんが、住民を思う抜本的な改善という視点を持っていますか。もう数十年変わってないのが現状です。国交省の「河川・海岸構造物の復旧における景観配慮の手引き」をご覧になっていますか。様々な視点や事例から防砂の研究をしています。と言いたいのです。
お陰様でこのコラムは回を重ねるごとに読者が増えてきています。それだけ県政に不満を抱いている方、私の意見に賛同してくださる方がいるということです。
今は昔と違い台風も大型化し風速も30mから60mに、雨量も150~200ミリだったのが1,000ミリへと今までに経験をしたことがないような被害をもたらしております。
これは日本だけではありません、世界中で自然破壊が大きくなっています。
このような時代に県議、県職員はより一層危機感を持ち、活動をしていただきたいと考えます。