台風10号の反省会。神奈川県は多くの市町村が被害に遭いました。果たして県は対策ができているのか?

台風10号の反省会。神奈川県は多くの市町村が被害に遭いました。果たして県は対策ができているのか?

皆さんの記憶にも新しいと思いますが、今年の台風10号は全国的な被害をもたらしました。
この台風の中心気圧は955hPaと非常に大型で、鹿児島県に上陸し、しかもジョギング並みのゆっくりした速度で北上した結果、その被害も大きなものになりました。
鹿児島県枕崎市の最大瞬間風速は51.5m/s。約65m/sの竜巻なども発生し、全国各地で大雨をもたらしました。関東地方では400mm以上の降水に見舞われ、静岡県の天城山では1,000mm近い大雨となりました。
神奈川県では、各地で被害が相次ぎました。小田原での家屋の一部損壊、藤沢市や茅ヶ崎市、相模原市での床下浸水や道路の冠水、海老名市や平塚市では8月の観測史上最大の雨量を記録しました。また伊勢原市や湯河原町では土砂崩れ、二宮町では河川が氾濫しました。
小田原市では448ミリ、箱根町では359.5ミリを観測しました。県は10市町に災害救助法を適用した程でした。しかも、これら被害は台風接近前のこと。気象台も「異例の雨量」と発表するほどでした。
大型の台風とは聞いていましたが、誰がこの被害を予測できたでしょうか。今まで台風被害など一度も、遭わなかった地域がこれほどまでの災害を被りました。これは地球が、そして自然が大きく変わったことが原因だと思います。もうこれまでの常識は通用しないことを、私たちは再認識する必要があります。
今回は神奈川県の災害対策について考えてみたいと思います。


自然災害は日本だけではなく、世界的に起こっています。台風だけではありません。今夏の猛暑も地球温暖化が原因と思われます。最近は線状降水帯やゲリラ豪雨、局地的大雨など、これまで使われてこなかった言葉がメディアでは頻繁に登場します。
もう我々が知っている台風ではありませんし、降水量も200mmから1,000mmが当たり前の時代になってしまったのです。これほどまでに自然環境が変化している現代で、私たち神奈川県の災害対策は旧来の対策と言わざるを得ません。
今回の台風では人口が少ない地域での被害でしたので、幸いなことに亡くなった方はいません。しかし、これが横浜市や川崎市などの大都市で起こった時にどうするのか?
県職員、県議会議員、そして知事は対策を考えているのでしょうか。想像すらしていないのではないでしょうか。
私は本コラム「神奈川県の改革何が出来ていますか?」で自然災害への対策について警鐘を鳴らしていました。
ハザードマップは市町村に任せず県が指導し、県民にもっと告知すべき
気象や災害の専門家が県全体を把握し指導すべき
災害に対する啓蒙活動に本気を出すべき
そして県は災害に対する抜本的な改革をすべき
などです。県は災害を未然に防ぐ活動をされているとは思いますが、私から言わせていただくと甘すぎます。
本気で県民を守ろうとしているのでしょうか。同じことは県議会議員にも言えます。地域のことを考えたら本気で提議し、条例を通してみよと思うわけです。「いや、やっている」と県議は反論するかもしれません。
しかし、見通しが甘かったから、今回の被害につながったのではないでしょうか。
私が県議なら知事にこう質問します。「自然はこんなに大きく変化しています。知事は対策をどうお考えか?私たちの地域と住民をどう守るおつもりか?」と。県議に至っては目立つこと、耳障りのいいことには声高に叫びます。しかし地下トンネルなんて創っても誰も見ないし、気がつかない。だから腰を上げないのです。
東京都は「100年先も安心できる東京」をテーマに、東京強靭化プロジェクトというものを進めているようです。2040年代までに災害に強い街をつくる計画として、地下40mにトンネル式の地下調節池をつくり、大雨で増水した河川が氾濫しないよう、その連結を進めています。トンネルがつながると全長13kmの調節池が誕生し、1時間に100ミリの集中豪雨にも耐えうるとのことです。
神奈川県では矢上川地下調節池や恩廻公園調節池が知られています。矢上川の調節池の完成予定は2025年ですが、恩廻公園調節池は既に完成しています。しかしその規模は、トンネルの長さ約600m、対応雨量は60mと東京のプロジェクトと比較すると、小規模な対策と感じます。
関内駅周辺の土地開発や、上瀬谷通信施設跡地の開発に投資するのもいいですが、都会ばかりにお金をかけて県央、県西などの都会ではない地域にお金をかけないから、今回のような結果になってしまったのではないでしょうか。知事、神奈川県は県民の命を守る災害対策にもっとお金を使ってもいいのではないでしょうか。
お金がない?ノウハウも人材もいない?そんな時だからこそ民間の力に頼るべきです。
私たち税金を使わないまちづくりの会は、町の発展のために民間企業が会員として加入しております。


地球温暖化の影響で、これから平均気温、降水量、真夏日は年々上昇・増加していきます。
台風の発生数はそれほど変化ないと思いますが、大型化の割合が増えていきます。
この未来予測は、気象庁はじめ様々な機関で統計を取っているため間違いはありません。
それはそうです。極地の氷が溶けているのですから。水が増え水温が上がれば蒸発し空に上る。自然の摂理です。
今回の台風10号のように、接近しなくても大きな被害が発生します。だから台風だけに備えるのではなく、これからは気象の変化に備える雨対策が必要になってきます。確かに何十年に1度起こる大地震や津波への対策も大切です。それと同じように常にリスクを孕んでいる雨対策も重要になってきます。
私たちの命や大切な財産を失うわけにはいきません。
皆さんもニュースで、マンホールが浮き上がっている映像をご覧になったことがあると思います。あれは下水管が細いので、雨水を処理しきれず溢れかえっているのですが、毎年度末に行われる予算消化の道路工事などやめて、下水管を太くする工事をしていただきたいものです。無駄な道路工事など今すぐやめて、災害対策に予算を投じていただきたい。人の命が失われて、はじめて動くようでは遅いのです。