「変革せよ!神奈川県」シリーズ第3弾。今回は介護・福祉改革。高齢化社会の到来。今こそやるべきことは一般職員をリストラし専門職を増やすこと

「変革せよ!神奈川県」シリーズ第3弾。今回は介護・福祉改革。高齢化社会の到来。今こそやるべきことは一般職員をリストラし専門職を増やすこと


2016年に発生した津久井やまゆり園事件、元職員だった男が深夜施設に侵入し、入所者19人を刺殺そして、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせた事件です。当時全国に衝撃を与えたこの事件、私たちは決して忘れてはいけません。そして二度とこのような痛ましい事件を起こしてはいけないのです。
2021年神奈川県における、介護施設職員から高齢者への虐待件数は66件で、相談・通報件数は201件です。2020年は52件、173件ですので増加傾向にあります。
内訳は身体的虐待がもっとも多く、約半数を占めます。次いでネグレクト、心理的虐待、性的虐待と続きます。報告されていないだけで、実際の件数はもっと多いと思われます。
なぜ増加傾向にあるのか?それは高齢者が増えているからかもしれません。しかしその要因は他にもあるのではないかと私は考えます。
津久井の件は事件後、神奈川県では知事はじめ有識者等による、再発防止策を話し合う会議が計8回開催され、最終的には「津久井やまゆり園再生基本構想(案)」という指針をまとめています。
このような会議は知事レベルだけではなく、職員レベルでも頻繁に行われているでしょう。
互いの意見をぶつけ合い検討することも大切でしょう。しかし事件や虐待・暴力は会議室で起きているわけではなく、介護・福祉の現場で起きているのです。


県の職員は現場へ指導やサポートに行っているのでしょうか。会議室だけでは解決できません。職員も現場へ行って汗を流さなければ、施設での暴力や虐待は減少しないでしょう。補助金などのカネも出すなら、口もどんどん出さなければなりません。
忙しくて時間がない?施設が多すぎる?充分に人がいない?馬鹿言ってるんじゃありません。
「変革せよ!神奈川県」シリーズ第2弾。今回も農業改革について触れます。やはり旗ふりは黒岩県知事にあり!」でも言いましたが、再度私は県職員の方々に言いたい。
あなた方のように、机に齧りついているような職員は辞めていただいて、介護福祉の専門職を雇用していただきたいと。農業改革には売れる農産物を生産できるよう指導する農業の専門家が必要なように、介護・福祉の質を上げるには福祉の専門家に入っていただけば良いと私は思っています。
実際に地方自治体ではそれで成功している事例はたくさんあります。
専門家を入れたら、まずは徹底して現場教育を行う。そして次に経営者指導を行う。介護職は儲からないとよく聞きますが、民間企業の私たちから言わせればまだまだ素人経営者が多いように思います。
悪い意味で要領のいい経営者は補助金を利用して、自身の報酬だけはきっちり確保して従業員には薄給で働かせています。人がいい経営者は自分の利益を減らして従業員へ給料を支払っています。
いずれにしても歪んだ経営と言わざるを得ません。
お金と心にゆとりがないため、介護の質に悪影響が出てしまう。従業員のストレスが、入居者に向いてしまい、虐待という悪循環が生まれているのではないでしょうか。
定期的な施設の運営指導、従業員の質の向上、そして経営者への経営指導、このように現場に出向いて手厚いサポートを継続させるしくみを築かないといけません。そして経営ノウハウを教えるだけではなく、補助金や助成金が適正に使われているかのチェック機能も果たさないとなりません。
県の職員は介護施設を改善するノウハウを持っていないので、会議するしか方法はありません。それはまったく税金の無駄遣いなので、一般職員を辞めさせて介護の専門職を雇用すべきと私は思っています。
本来でしたら、このような提言は私のような民間の人間ではなく、県議会議員がしなければなりません。
しかし県議会議員は目的も曖昧な勉強会をしたり、選挙のことしか考えておらず本来の使命をまっとうしているとは言えません。県議会議員は県民の立場に立って、県の施策の必要性を議会で論議すること、
各専門分野に分かれた委員会で議案を審査することも業務の1つです。また、昭和から引き継いでいる県条例を現代に合った条例に検討し修正をすることが第一の仕事だとも考えます。
しかしそれらは充分に機能していないため、県職員も変わらないのが現状です。


従業員の教育は経営者がすれば良いという意見もありますが、私は違うと思います。補助金・助成金を出している立場から、県も介護施設の従業員教育には参画すべきです。
痛ましい事件を再び起こさないために、また介護・福祉現場での暴力・虐待を未然に防ぐために県がしなければならないことはたくさんあります。しかし現行の体制、つまり一般職員が有識者を入れて会議を繰り返す、そして書類だけが増えて行き現場に出向かない。このようなやり方では、事件は再び発生しますし、虐待件数も減少しないでしょう。最近では入居者の持ち物や現金の窃盗事件も起きています。
繰り返しになりますが、県庁は従業員の介護スキルやモラルのアップ、経営者の質向上、助成金等のチェック機構など、専門分野の指導ができる専門職員を増やしてください。
「変革せよ!神奈川県」は県職員、県議会議員だけに提言しているのではありません。県民の皆様へ向けても発信していますが、最も本コラムを読んでいただいきたいのは、当会にも色々とお力添えをいただいている黒岩知事であります。今号もきっと黒岩知事は読んでくださっていることでしょう。
当会にも手紙を送ってくださるくらいですので、今号もきっと黒岩知事は読んでいただいていると思います。
知事にとっては耳の痛い提言ではありますが是非とも、ご検討くださいませ。よろしくお願い申し上げます。