住民監査請求、神奈川県が住民の請求を認めた事例は1件もない事実
読者の方々は住民監査請求をご存知ですか。総務省のホームページには
「住民からの請求に基づいて、地方公共団体の執行機関又は職員の行う違法・不当な行為又は怠る事実の発生を防止し、又はこれらによって生じる損害の賠償等を求めることを通じて、地方公共団体の財務の適正を確保し、住民全体の利益を保護することを目的とする制度」
とあります。参政権1つである直接請求権ですね。住民の利益の保護を目的としています。
神奈川県では平成20年以降、49件の住民監査請求が行われていますが、ただの1つも認められた事実はありません。ほぼすべてが棄却か却下であります。こちらをご参照ください。
税金を使わないまちづくりの会でも、令和2年3月に住民監査請求を行ったことがありますが、結果は当然のように却下でありました。
税金を使って、本当に客観的な視点から審議しているのでしょうか。今回はそんな住民監査請求について、当会の事例も含め切り込んでいこうと思います。
茅ヶ崎ゴルフ場開発入札問題
当会では、茅ヶ崎のゴルフ場について令和2年3月に住民監査請求を行いました。茅ヶ崎のゴルフ場は約6割の土地を神奈川県が、4割を民間企業が所有するのですが、減免措置を解除し、倍の地代を要求すると運営会社が撤退を表明し、県は新たな事業者を公募しました。
県の入札要綱が民間企業寄りの有利な要綱になってしまっている事が問題である。それは民間企業の土地に道路を造り、整地までする費用を開発事業者が負担する事になっており、更に開発期間が2~3年程度かかる中、その間のゴルフ場の賃料も開発事業者が負担せよと。当会が試算をしたら17億円くらいになる。県の為の負担ならまだわかりますが、民間企業の道路や整地及び賃料も含まれている事から、その条件はちょっとおかしいのでは?と当会としては住民監査請求をさせて頂いたのです。
住民監査請求はどんな話し合いが行われたか?
監査員は5名いらっしゃいました。議長、弁護士、税理士、そして県議会議員2名です。当方は弁護士と私の2人です。そして議長が「各人10分差し上げますから、異議を述べてください」と始まりました。
私たちは初めてだったのでちょっと驚いたのですが、もう私たちの主張は事前に資料を揃えて提出してあるので、監査員から何らかの回答があるのかと、構えていたのですが、まずは私たちから話せと言う事で、弁護士が約4分、私が約8分請求内容を説明させて頂きました。
私たちの説明に対して、監査員5名から何らかの意見や質問があると思うでしょ?ところがまったくないのです。一言も。それで住民監査請求は終了です。回答は後日文書で送られてくると。
このブログをお読みの方は「住民監査請求」という言葉をお聞きの方も多いと思いますが、実際は話し合いなど一切行われず、形式だけで済ませてしまうカタチだけの住民監査請求なのです。
これが実態です。
私が許せないのは県議会議員です
住民監査請求の目的は前述のように「住民の利益の保護」です。またその性質上、監査員は中立の立場でなければなりません。それなのに5名とも何も言わない。意見も質問もない。
百歩譲って議長、弁護士、税理士は民間人なので中立の立場で意見を述べてもらわないと、出席している意味がありません。
県議会議員はどうでしょう。選挙で県民の支持を得て選ばれた県民の代表でしょう。事前に私たちの提出した資料に目を通しているはずでしょう。更にその場で10分以上説明している訳でしょう。
私たちの説明に対して、疑問点や不明点もあると思うのですが何も言わない。賛成意見ではなく反対意見でもいいですよ、こちらとしてはお考えを聞きたいわけなのです。
あなた方がこうして能面のような顔で何も考えていなくても、私たちの税金から報酬が発生しているのですよ。県民のための県議会議員ではないのですか?何のために住民監査請求の説明の場に参加しているのですか?と私は言いたいのです。
民間企業の会議では「意見を言わない者は参加していないも同じ」と評価が下がります。県議会議員は自身の職業や立場に対して、自覚はお有りか?と私は言いたいのです。
中立な立場を装いながら、結果的に彼らは中立ではないのです。前述のように神奈川県では平成20年から、49件の住民監査請求が出されているのですが、いずれの話し合いの場も同じ様に進められたのではないでしょうか。
却下の通知書
後日通知が送られて来ました。私たちが請求している事項には一切触れず、役人の作文でまったく関係のない論点を講じて「却下」という結果でした。
私は県のホームページに掲載されている住民監査請求の結果のいくつかを読んでみましたが、いずれも関係のない論点を長々と述べて却下、または棄却という内容が結構ありました。
主張する時期が違うから却下、定義が異なるから却下、詳細を明らかにしてないから却下、法を参照して問題ないから棄却。結局は県議会議員も役人も責任を取りたくないのです。
しかしその論点すり替えの通知書も、調査をして書類書いて複数の役人がかなりの時間をかけて作成をしているわけです。責任逃れの為に私たちの大切な税金を使っているのです。
ただジェスチャーとして「私たちは県民の事を考えていますよ。とてもいい制度を設けていますよ」と言いたいだけ。それでは県民は住民監査請求に負けますよ。
はたしてこの住民監査請求と言う制度がそもそも必要なのか?結論が解っている事にわざわざ税金を使う必要があるのか?疑問である。
このブログをお読みの読者さま、是非神奈川県の住民監査請求のページをご参照してみてください。
見事に「却下」「棄却」が並んでいますから。
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